はじめに

 地域コトづくりセンター(以下、センター)を利用するには、いくつかの事務手続きを必要とします。利用の種類としては製品製作をセンターに依頼する製作作業依頼と、教職員・学生がセンターの施設を利用して製作するセンター利用の二通りがあります。一般に製作依頼の方は膨大な依頼件数を限られた職員で処理するため、時間がかかります。どちらの利用をするかは製品の形状・材料・精度などと各研究室が持っているノウハウによって決まります。加工に必要な工作機械によってはセンター職員でなければ使用できないものもあり、また、教職員・学生がセンターの施設を使用するためにはそれぞれの工作機械に対して安全教育を受けなくてはならず、安全教育を受けていても作業の難易度によっては困難な場合があるからです。そのため、製品の製作を行う場合は一度設計図面を用いてセンター職員と打ち合わせをすることをお勧めします。

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上手なセンターの利用法

 機械工学科の学生は2年生で機械工作実習があるので、基礎の基礎は心得ているはずです。しかし、実際に卒研・修論の必要に駆られていざ機械を使ってみると全然ダメというのが現状です。安全教育では安全に作業を行うための注意点を指摘しますが、操作方法は実際に作業を行うときに説明します。職員の人数に限界があるのでいつも付きっ切りという訳には行きません。また、せっかく操作を覚えてもすぐに卒業・修了してしまい、また一から指導のやり直しということになります。研究室によっては、常連の博士・修士の学生さんがいて、後輩に作業の助手をさせながら指導をしてくれます。このように研究室でノウハウを所有してもらうとセンター職員の負担も軽くなり、全体に目が届くようになります。結局、細かい指導、学生の安全につながっていきます。研究室としてもいちいち製作作業依頼をすることなく、緊急の製作にも対応できるようになります。

 ではどうやって研究室のノウハウを蓄積していくのかというと、研究室の学生と伝統を育てていくのと同じです。自主的に実験を企画し製作する学生さんがセンターの常連になり、後輩を指導し、センターの物ではなく研究室でノギスやマイクロメータなどの測定器やバイトやエンドミルなどの工具を欲しがるようになり、その技術を各研究室でデータベース化していくことで年度に関係なく技術力が維持されます。優秀な学生さんがいた一時期だけセンターとの関係が親密になるというのは好ましくありません。今のところ、学生さん個人との信頼関係は築きつつありますが、それが研究グループ単位、研究室単位で信頼関係が築けるようになればもっと地域コトづくりセンターを利用しやすくなっていくと思います。


設計図面について

 最近設計図面を持たずに加工を行っている学生さんを見かけることがあります。1工程か2工程で終了する作業や現物合わせの追加工ならばそれでもいいかもしれませんが、実際に作業を行う上で図面があった方が次の作業がわかりますし、センター職員も適切な指導をすることができます。

 機械工学科以外や他学科の教職員・学生さんの中には機械設計・製図に自信のない方もいると思います。設計図面はできればきちんとした書式のものがよいのですが、重要なのはどの部分なのか、重要な部分の寸法や精度をきちんと記載しているかどうかです。ですから、ポンチ絵やマンガをフリーハンドで描いたとしても、必要事項が正確に記載してあれば十分対応できます。逆にCADソフトなどを用いてきれいな図面を描いたとしても、「何の用途に使うからここが大切な箇所だ!」ということがわからなければ適切な対応ができない場合があります。

 とにかく一度紙面に設計図面らしいものを描いて、それを用いてセンター職員と打ち合わせをしてみましょう。加工の効率などで設計変更もあると思います。事務的な手続きもその煮詰まり具合をみて申請すれば迅速な対応が出来ます。